クスノキ
Posted at.2008/09/29
学名 Cinnamonum camphora クスノキ科
主たる分布 本州中南部、四国、九州、台湾、中国
樹種解説 常緑高木。樹高20m・胸高直径2m。天然記念物に指定されているものの中で最も大きくなる木。樹形は半球形とされているが、植栽のものは通直で、天然のものは枝分れ多く樹形は複雑である。シイ類・カシ類とともに、わが国の暖帯林を構成する主要樹種である。耐寒性があり、生長が早い上に長命なため、関東以西の神社等で巨樹を見かける。古事記、日本書紀に記載があったり、縄文の遺跡から丸木船が発掘されたり日本では古代から重要な木であった。樹皮に縦の筋状が見られ、樹全体に樟脳と樟脳油を含むので、枝葉、幹、根に強い匂いがある。また樹体から樟脳がとれる。徳川網吉の時代に樟脳を採る方法が薩摩藩に伝わり、江戸時代から昭和初期まで、外貨獲得に貢献した。樺脳は医薬品、防虫防臭剤、セルロイド、フィルム、農薬の原料となり、樟脳油は分溜して白油、樟脳、中間油、赤油、藍油、ピッチとして医薬、香料、選鉱剤など利用された。また、材は耐朽力が強く保存性が高いため、大建築から家具、仏壇まで幅広い用途がある。現在は街路樹、公園用樹として各地に植栽が進んだため、最近ではクスノキを食草とするアオスジアゲハ(蝶)を都心でも見かける。心材は黄褐・紅褐色。辺材は灰白・淡黄褐色。両材の区別はやや不明瞭。肌目はやや粗く、国産の木材材では珍しく交錯木理を現わすことが多い。幹が曲がったり変形している木にはしばしば玉杢や美しい紋理を生ずる。やや軽軟の木材である。水湿に耐える。耐朽・保存性は非常に高い、加工は容易だが、逆目を起しやすい。仕上がりは中庸である。乾燥は中位で狂いが出やすい。用途は社寺建築、欄間、床柱、仏壇、器具、家具、箱、彫刻、木魚、医薬用など。