研ぎ方
鉋はまず研ぎから!という事で・・・
と、そのまえに鉋身の名称を知っておいて下さいネ。
あと!研ぐ前に砥石は必ず水につけておいて下さい。
研ぎはまず「裏だし」というものをします。
裏だしとは、鉋身の表の鋼の部分をだす事なのですが、刃が欠けたり、たくさん研いでいる内に鋼がなくなってきます。
なので裏からたたいて出してやる必要があるのです。
金床の角に鉋身の表面をつけ、しのぎ面の三分の二くらいの所でライン状にたたいていきます。
この時、あまり刃先の方をたたいてしまうと鉋身が割れる恐れがあるので気をつけて下さい。
こんな感じです。
そして「裏押し」をします。
先ほどたたいて出した鋼を今度は磨いていきます。
鉄棒の上の金剛砂と水1、2滴たらします。そして裏押し棒に鉋身をセットして・・・
では鉄板の上で鉋身を磨きます。
両手で持ち、まずは金剛砂の粉を水になじませながら前後に動かし、金剛砂がつぶれてきたら、垂らした水分がなくなるまでずっと磨きます。
水分がなくなっても磨いていると光ってきます。
鋼の部分で眉毛の毛が一本一本見えるくらいで大丈夫です。
そしていよいよ研ぎます。
まず鉋身の持ち方ですが、人によって違う事が多いです。
自分の持ちやすい用につかんで下さい。
右手でこのように持ち、左手は圧力を揃える為に添えるだけくらいが基本です。
まずは中砥石です。
中砥石は水分を含みやすいので水は前もってたっぷり吸わせておいてください。
角度をきめ、刃先を砥石に対して垂直のまま前後に動かします。
初めは難しいですが、できるだけ端から端まで動かすようにして下さい。
中砥石での研ぎが一番重要です。
鉋身の両端の部分を「耳」といいます。
研いでいると耳が立つ人が多いです。耳が立ってしまうと削った時にいくら台がよくても耳の分が出てしまい線がのこります。
なので耳はできるだけ落とし気味の方がいいです。
写真だけではわかりにくいので手書きで大げさに書いていますが、心持ちこんな感じに仕上げて下さい。
耳を落とす研ぎ方はいろいろありますが、このように普通に研ぎながら端だけを研ぐ回数を多くする方法が一番ベターではないでしょうか。
耳を見ているだけではいけません。
刃先線が右上がりだったりする事が多いので、刃先線の斜め具合にも注意して下さい。
ずっと研いでいると「刃返り」というものがでてきます。
刃返りとは裏に研げた鋼が返ることなのですが、これを放っておくと刃が欠けてしまう恐れがあるので、気を付けておいて下さい。
刃返りの取り方は、仕上げ砥石で裏面を砥石に対して直角にあて縦に研ぎます。
これはあまり回数はいりません。手で触って刃返りがなくなっていればもう大丈夫です。
そしてしのぎもできるだけ真っ直ぐ研いで下さい。
このようにしのぎに細長い蛍光灯を斜めにして映すと・・・
よく研げていると蛍光灯は真っ直ぐ映ります。(手書き図の左)
しのぎが丸いと蛍光灯が曲がって映ります。(手書き図の右)
右図の写真はしのぎ面に蛍光灯を映した物です。(写真)
このように調べると自分の研ぎがよくわかりますよ。
理想の形に研げたら仕上げをかけていきます。
初め仕上げ砥石はしのぎ面を真っ直ぐに保ちにくいし中砥石より研ぎにくいですが、中砥石の時よりもたくさん研いで下さい。
たくさん研ぐと、よく切れるし、切れが長持ちします。
短時間しか研がなかったら、切れが続きにくく、またすぐに研がなければいけません。
できるだけ仕上げは二段階くらい研いで下さい。
ちなみに今回つかっているのはS1とG1です。
同じように時間をかけて研いで下さい。
最後に天然砥石で研ぎます。
天然砥石はあるに越したことはないのですが、なくても大丈夫です。
研ぎ終わったら必ず油を塗っておいて下さい。でないとサビます。
研ぎは本当に難しいです。
職人の世界では研ぎで三年といわれている程です。
うまくなる為には毎日研ぐ事が一番です。